宮殿へゆく。

ベルサイユ宮殿はパリから電車で40分ほどのところにある。 電車に乗り、パリを離れると、辺り一面の小麦畑が広がっていた。今まで芸術の都に浸っていたため、その金色の景色にちょっと驚いたが、そういえば、フランスパンという名詞があるとおり、フランスはヨーロッパの穀倉庫だったと再認識した風景だった。 電車の終点で降りると、徒歩5分もしないところにベルサイユ宮殿の入口が見えた。宮殿見学料16Fを支払い、ベルサイユ宮殿へ。門を入るとすぐにルイ14世の像がお出迎えしてくれていた。

宮殿内を見学。フランス絶対王政の絶頂を極めた雰囲気に驚き、呆れながらの見学となった。ただ、この階段を、この部屋をマリー・アントワネットが行き来し、贅を極め、そしてパリの革命広場でギロチンの露と消えたことを思うと、日本人の私としては『盛者必衰』を思わずにはいられなかった。

宮殿内を散策

庭園に回るとこれがまた、イチイチが豪華。2つの噴水にはそれぞれ意味があるらしく、当時のルイ14世の思いを表現したものらしかった。眼前に果てしなく広がる庭園に、向こう側はどこまでいけるのだろうと、意を決してテクテク歩き始めた。

30分直線を歩き続けて、いまだその直線の小道ははるか向こうに続くが、人気はまったくなくなり、辺りは小鳥のさえずりを残して静寂に包まれた。振り返ると宮殿は人差し指の長さと同じだけになっていた。宮殿にはあれだけ観光客がいるのに、今ここには人一人いない。ふと立ち止まって考えた。今から戻るだけで30分。更に先を行けば、その倍を戻る時間に要する。撤退やむなしの断を下し、後ろ髪を引かれつつも宮殿に向けてきびすを返した。それにしても呆れるほどの広さを実感できた小ピクニックだった。

パリに戻り、セーヌ川に沿って散歩をしていると、川沿いの公園でサッカーボールを蹴っている日本人の青年に出会った。聞けば、パリで住み込みの仕事をしているとのこと。連れて行かれるままに日本料理店「香(こう)」へ。ヒゲを生やした日本人のマスターは気さくな人で、今までの旅の話をすると、これ食べるかあれ食べるか、と色々とご馳走してくれた。お医者さんからは「早く治すなら日本食が一番いい」と言われていたため、結局パリで焼魚定食を頂くことになり、夜は手痛い100Fの出費となった